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 ご案内

歯科・歯科口腔外科のご案内
■診療内容  市立長浜病院の歯科は、1957年11月に新設され、2017年11月で60周年を迎えます。また、歯科口腔外科は1997年1月に新設され、こちらも2017年1月に20周年を迎えました。当科では、主に顎口腔領域の炎症・外傷・腫瘍・粘膜疾患・顎関節疾患・顎変形症など、すべての歯科口腔外科疾患を対象に幅広く診療を行っています。
 2000年に湖北地域の障害者歯科医療の一端を担うため、障害者歯科専門外来を開始しています。現在、毎月第1、3水曜日の14:30~16:30に診療を行っています。また2004年には、超高齢社会のニーズに応えるべく、多科・多職種と連携を取りながら歯科が中心となって嚥下委員会を発足させ、摂食嚥下機能の評価および機能訓練など行っています。
 一方、当院は2005年に厚生労働省から地域がん診療連携拠点病院に指定されています。近年、がん治療などにおける周術期口腔機能管理の重要性が認識されるようになりました。当科では2014年に口腔ケアセンターを開設し、がん患者だけでなく、あらゆる疾病を持つ患者の口腔機能管理を行っています。
■施設認定
・日本口腔外科学会認定准研修施設
 
■診療科の特徴 嚥下リハビリテーション
 さまざまな疾患により食べることが困難(嚥下しょうがい)になった入院患者様に対し、耳鼻科の他、スタッフと協力して嚥下訓練、指導を行っています。口腔衛生状態が不良な場合には、指示のもとで当科スタッフが口腔清掃、指導に当たっております。
■患者さまへ  当科では口腔領域の外科的疾患を中心に取り扱っております。
 歯科治療に関しては、全身疾患などのため歯科医院での治療が困難な場合を除いて、原則、近隣の歯科医院への受診をお願いしております。

 

スタッフ紹介

スタッフ紹介
役職等 名前 資格
責任部長 近藤 定彦 日本口腔外科学会指導医
厚生労働省歯科医師臨床研修指導歯科医
部長 山田 理浩 日本口腔科学会指導医
日本口腔科学会認定医
日本小児口腔外科学会認定医
日本外傷歯学会指導医
日本外傷歯学会認定医
担当医師
(専攻医)
田代 千紘  
担当医師
(非常勤)
飯塚 忠彦 日本口腔外科学会指導医

 

外来担当医表

 外来担当医については、下記リンクをご参照ください。

 休診、代診のお知らせについては、下記リンクをご参照ください。

お知らせ

当院に通院中または過去に通院、入院された患者さま、ご家族の皆さまへ

 当科では、「薬剤関連顎骨壊死の発症リスク因子に関する後ろ向き観察研究」 、「薬剤関連顎骨壊死の治療法と予後に関する後ろ向き観察研究」を実施しています。疾病の予防、患者さまの生活の質の向上につなげるため各臨床研究にご協力お願いいたします。

※内容につきましては、PDFファイルをご参照ください。

  ・ONJ発症リスク.pdf (PDF 12.6KB)

  ・ONJ治療と予後.pdf (PDF 12KB)

学会・論文発表

学会・論文発表につきましては、下記リンクをご参照ください。

診療実績

症例件数の算出定義:「疾病、傷病及び死因の統計分類提要ICD-10(2003年版)準拠」の中分類に則って算出しています。

診療実績(単位:件数)

手術 2021年
(1月~12月)
2020年
(1月~12月)
抜歯 450 441
口腔腫瘍手術 49 50
口腔外傷手術 5 3
消炎手術 18 14

※2020年1月~2021年12月の入院での手術件数を集計しています。

診療トピックス

歯科口腔外科【外科診療部門】

埋伏抜歯

 親知らずなど、歯肉や骨のなかに埋もれて萌えてこない歯の抜歯です。簡単なものは外来で抜歯しますが、かなり深くに埋もれている時や、複数の歯牙を同時に抜歯するときは一泊だけ入院してもらっています。一般的に女性の方は結婚前に抜歯しておくことをお勧めします。

歯根嚢胞(しこんのうほう)

 放置された虫歯や歯の根の歯周炎が進行して骨の中に生ずる膿の袋状の物です。根管治療(歯の根の治療)で治らない大きな嚢胞は手術で摘出する必要があります。

歯性上顎洞炎(しせいじょうがくどうえん)

 上顎の歯牙や、その治療が原因で上顎洞炎を生じることがあります。いわゆる蓄膿症の様な症状を呈します。通常は薬と原因歯の治療で治りますが、重症の場合は手術が必要になることもあります。

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

 歯牙の治療や抜歯後の感染、放置された虫歯や歯周病などが悪化して、感染や炎症が皮下や筋肉などの周囲へ広範囲に波及することです。顔や顎などが腫れたり口が開けられなくなったりします。薬と排膿処置(膿をだすこと)で通常は治りますが、重症時は入院が必要になります。また糖尿病などの全身疾患がある方や高齢者の場合は、治療が遅れると生命に関わることもあります。

外傷:上下顎骨の骨折

 交通事故などで顎の骨が折れることです。同時に歯牙の破折や脱臼を伴うことも多く、噛み合わせを考えながらの治療が必要になります。多くの場合に入院、手術が必要になります。

外傷:歯牙破折、脱臼、歯槽骨骨折

 事故で歯が脱臼したり抜けてしまった場合、歯牙の固定や再植(抜け落ちた歯をもとに戻すこと)を行います。歯が残るかどうかは抜けてからの時間や歯の状態に影響されますので、早期に治療することが必要です。

顎関節症(がくかんせつしょう)

 口を開いた時にあごの関節に音がしたり痛みがあったり、痛みのために口が開かなくなるなど、様々な症状があります。一般に若い女性に多く認めます。症状が軽度でも治療が必要な時があります。治療はまずスプリントという一種のプレートを用いることから始め、場合によっては顎関節腔への注射や内視鏡を用いた手術も行います。

口腔腫瘍(こうくうしゅよう)

 良性腫瘍や悪性腫瘍(がん)など、いわゆる出来物のことです。舌や歯肉、頬粘膜、口蓋など口腔内のあらゆる所に発生する可能性があります。良性腫瘍では手術による切除、悪性腫瘍では手術をはじめ、放射線治療や化学療法なども併用して総合的に治療しております。悪性腫瘍の場合は発病から治療までの期間が予後に影響しますので、口の中に何か異常なものが出来たら、早めに受診してください。

顎変形症(がくへんけいしょう)

 いわゆる受け口など上下の歯並びが骨格性に不整のことです。上顎や下顎の骨が大きかったり小さかったりすると噛み合わせにずれが起こります(過成長、劣成長)。また左右の顎の成長が違うと顔貌が非対称になります。こうした顎の骨が原因で歯列の矯正だけで治らない場合や成人の場合は、手術によって顎全体を前にだしたり、引っ込めたりします(手術は顔に傷を付けないように口腔内より行います)。当科でも矯正専門医と協同で治療にあたっております。

唾石症(だせきしょう)

 顎下腺などの唾液腺に石ができることです。それ自体は問題ありませんが、唾液の流出しょうがいや慢性炎症が生じた時は手術で摘出する必要があります。

前癌病変(ぜんがんびょうへん)

 がんではないですが、がんになる可能性のある粘膜の病気です。病状に応じて薬におる治療や検査、切除を行って定期的に経過観察する必要があります。

インプラント治療について

 インプラント(Implant)とは植え付けることを意味し、歯科の領域では一般的に人工歯根治療を示しています。
 何らかの原因で歯を失うこととなってしまった場合には、従来、(1)隣り合う歯を支えに、橋渡しをして、数本が一塊りの歯を用いて歯を補う方法(ブリッジ)、(2)隣り合う歯に加えて、歯が失われた後の歯ぐき、いわゆる土手の部分も支えに利用して、取り外しの入れ歯を用いて歯を補う方法(入れ歯)などがあります。インプラント治療では、失われた歯の顎の骨に人工の歯根を埋め、その上に人工の歯を固定します。
 インプラントの治療においては、術前の診査診断が重要になります。インプラントを植える骨の質や粘膜の状態だけではなく、糖尿病や心疾患などの全身的な検査も不可欠となります。インプラントと骨が馴染む(生着する)のに3~8ヶ月程度を要し、通常、インプラント治療を開始して最終的な補綴物(人工の歯)が入るまでに下顎では半年、上顎では1年間程度かかります。
 また、インプラントの歯の周囲に虫歯や歯槽膿漏の歯がある場合にはインプラント手術前にきちんと治療しておかなければなりませんし、長期間の高い成功のためにはインプラントによる歯を使い出してからも定期的な診査が重要です。

だれでも、インプラントはできるのか?

 歯科インプラント治療は、大変効果的な治療法ですが、全ての方々が簡単に手に入れられるものではありません。
 私たちは、インプラント治療を開始する前に、しっかりと長持ちするようなインプラントを、安全に提供できるかどうかを、検査させていただいております。
 検査には、通常2~3回の来院を要します。
 その後に、インプラント治療を実際に行えるかどうかを、ご相談させていただいております。

あご(顎骨)の骨折について

 あご(顎骨)の骨折のほとんどは機械的外力の作用で起こった外傷性骨折であり、交通事故によるものが最も多く、ほかには作業事故、殴打、スポーツ外傷、転倒などで起こります。特に下あごの骨折は顔面骨骨折のなかで最も頻度が高く、ぶつけた部位が骨折する場合と、ぶつけた部位から離れた関節など弱い部位に骨折が起きることがあります。
 あごとその周りの組織には、発音や咀嚼など日常生活のうえできわめて重要な役割があります。その一つに歯の咬み合わせがあり、骨折によって生じた咬み合わせのくるいは元の状態に戻さなければ、うまく会話や食事ができません。あごや顔面の外傷では、頭部や他の外傷を伴うことも多く、救急救命処置を優先しなければならない場合、あごの骨折の処置が後回しになることもありますが、後遺しょうがいを残さないためには治療を早期に開始することが望まれます。また、処置をされていても正しい咬み合わせに戻されていない場合には、骨折した時と同様に口の開け閉めが出来ない、痛くて動かせない状態のままです。そのような場合には、本来の咬み合わせの回復のために処置が必要です。
 あごの骨折の治療は、ワイヤーで上下の歯を固定して安静に保つだけで済む場合と、手術が必要な場合があります。手術が必要な場合は口の中から処置を行い、本来の咬み合わせをくるわせないように固定した上で、骨折した部分をもとの位置に戻して金属のプレートをネジ止めします。歯の咬み合わせは数ミリの違いも大きな違和感となりますので、あごや顔面の外傷後に口の開け閉めが出来ない、痛くて動かせない状態の場合はもちろんのこと、受傷後にうまく歯が咬み合わない時には、早期に、専門医に受診されることをお勧めします。

睡眠時無呼吸症候群・スリープスプリント装着希望の方

 このスプリント(マウスピース)は夜間、寝ている間に装着します。スプリントを装着することで下あご全体が前へ出るため、その分、気道(空気の通り道)が広がり、無呼吸やいびきが改善されます。
 スプリントは非常に軽量で取り扱いも容易ですが、効果には個人差があります。比較的軽度の無呼吸症ではスプリントだけで症状が改善しますが、中度から重度ではNCPAP(鼻マスク)や手術との併用が必要です。また残存している歯の少ない方や総義歯の方は、スプリント装着はできません。なお、スプリントを使用することで歯並びや噛み合わせが変化することはありません。
 スプリントの製作は完全オーダーメードで、患者様ごとに歯型をとり、レントゲン写真を用いて形態その他の設計を行い作成します。(平成16年4月より健康保険適用)

通常のかみ合わせ
通常のかみ合わせ

スリープスプリントを装着
スリープスプリントを装着

(下あごを前に出して固定)
(下あごを前に出して固定)

スプリント本体は特殊なアクリル樹脂製

 上あごに装着し、強く開口した時は下あごの方が簡単にはずれます。前方に呼吸用の隙間を設けています。

*装着を希望される方は、総合診療科あるいは耳鼻咽喉科の担当医までご相談ください。
*スプリントの使用方法については、歯科口腔外科までお問い合わせください。
(市立長浜病院 Tel 0749-68-2300)

口腔癌(こうくうがん)について

 口の中のことを口腔(こうくう)といい、口の中にできる癌(がん)を口腔癌といいます。日本では年間におよそ6000人が口腔癌にかかり、およそ3000人の方が口腔癌で亡くなっています。口腔癌にかかる人の割合は、癌全体の1~3%程度で、決して多くはありません。しかし、人口における口腔癌にかかる人の割合(罹患率)や亡くなる人の割合(死亡率)は男女ともに年々増加しています(グラフ1)。口は、食事や会話など私たちの日常生活において重要な働きをしています。豊かな生活を送るためには、口の健康は欠かせません。口腔癌から口の健康を守るために病気を正しく理解し、予防することや早期に治療することが大切です。

部分別死亡率年次推移

 口腔癌は口のいろいろなところにできます。舌にできる癌は舌癌(ぜつがん)、歯ぐきにできる癌を歯肉癌(しにくがん)、舌と歯ぐきの間にできる癌を口底癌(こうていがん)、頬の内側の粘膜にできる癌を頬粘膜癌(きょうねんまくがん)、上あご(口の天井の硬い部分)にできる癌を硬口蓋癌(こうこうがいがん)などと呼んでいます。

舌癌(ぜつがん)
口底癌(こうていがん)

 口腔癌の原因はわかっていません。たばこ(喫煙)やお酒(飲酒)を控えること、合わない入れ歯や虫歯は治療すること、口の中を清潔に保つことなどに注意する必要があるといわれています。また、口の中の粘膜が白くなる症状(白板症や扁平苔癬)は、癌になる可能性が高い状態であるといわれています。

白板症
白板症

白板症
白板症

口腔癌の症状について

 一般的には初期の癌では硬い「しこり」が触れるだけで、痛かったり、血が出たりすることは少ないといわれています。癌が大きくなってくると、口の中の粘膜が盛り上がったり(腫脹)、荒れたり(びらんや潰瘍)する場合もあります。なかなか治らない口内炎も注意が必要です。お口の中の気になる症状がある場合は、かかりつけ医師やかかりつけ歯科医師に、病院の歯科・口腔外科を受診したほうがよいか、相談してください。直接、相談していただいてもかまいませんが、紹介状がない場合は特定療養費(2,160円)をいただいています。

診断および治療について

 診断はまずは、「口の中のできもの」の見た目(視診)や触った感じ(触診)などで診断します。口の中だけでなく、首なども触診します。レントゲン写真やCT検査、MRI検査、PET検査などの画像検査を必要に応じて行います。「口の中のできもの」が癌であるがどうかの診断は、「口の中のできもの」の一部を切り取って、癌細胞がいないかどうか顕微鏡の検査(病理組織診断)を行います。口腔癌の治療法には、手術療法、放射線療法、抗がん剤による化学療法、痛みなどの苦痛に対する症状を和らげる治療(緩和治療)などがあります。口腔癌では手術療法が中心になりますが、放射線治療単独でも治療可能な場合もあります(放射線治療のページ参照)。手術療法や化学療法、放射線療法をそれぞれ組み合わせて行う場合もあります。口腔癌は、治療後も再発したり、転移したりすることがあるため、治療後も経過観察が必要です。当院では、毎週火曜日に京都大学大学院医学研究科口腔外科名誉教授の飯塚忠彦先生に診察していただいています。

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