トップ記事小児科ニュース(4月号)

 小児科ニュース4月号トップ画像

 桜の便りも聞かれる季節となりました。新学期を迎え、これからの学校や幼稚園、保育園での生活に希望と不安を持って臨まれて いる時期と思われます。がんばっているお子さんたちを抱きしめてあげてください。

1.長浜病院小児科からのお知らせ

 3月末で小児科医が2名減になりました。4月からは小児科部長1名と非常勤の医師の1名で診療に当たらなければなりません。大幅な外来診察の制限(午前中のみ、午後は主に専門外来のみ)、救急外来の制限(当番日は月曜日のみ、午後9時までの待機制は 終了)を行わざるを得なくなってしまいました。その分一人一人の患者さんを大切に、少し時間をかけて診させていただこうと思っ ております。

2.今流行っている病気

 インフルエンザが下火になって、ノロウイルスやRSウイルスが今後増加してくるのが例年の常ですが、今はどちらもまだ少な いです。


1)感染性胃腸炎
 1-1)ノロウイルス感染症
 ノロウイルスは、経口感染、接触感染、飛沫感染 などで感染します。特徴的な症状は吐き気、嘔吐、腹痛、下痢が急激に起こることです。 小児では嘔吐(嘔吐のみのこともあります)が多く、成人になると下痢症状が主になります。
 潜伏期間は平均12~48時間、症状の持続時間(有病期間)は12~60時間です。そのほかの特徴としては、①少ないウイルス量でも感染する。②症状が回復した後も長期間(2週間)ウイルスを排出する。③環境中で安定である。④終生免疫でない。 があります。
 1-2)ロタウイルス感染症
 便に排泄されたロタウイルスが間接接触によって伝播すると考えられています。潜伏期間は24~72時間です。初期には嘔吐と発熱がみられることが多く、嘔吐は平均2.6日、下痢は平均5日間続くといわれています。便のウイルスの迅速検査で診断できます。


2)インフルエンザ
  国内の検出状況ではAH3亜型、B型、AH1pdm09型のようですが、当院の検出状況は今のところA型がほとんどで、B型は少ないです。今は発熱期間も比較的短く重症は少ないように思っています。


3)溶連菌感染症
  高熱で受診される患者さんの中にインフルエンザに混じって溶連菌性の咽頭炎と思われる子どもさんが見られます。溶連菌とは普通に喉にいる細菌で、特に問題になるのはA群β溶連菌で、多くは喉が赤くなって熱が2?3日出る場合や、扁桃腺が赤く腫れて膿がついてきて熱が2?3日出る場合、さらに体に発疹が出る場合などいろいろな症状が出ます。溶連菌そのものは抗生物質がよく利きますのでそんなに心配するものではないのですが、放置しておくと将来腎炎、リウマチ熱、心臓弁膜症などの合併症がみられることがあり、早期に適切に治療しておく必要があります。


4)流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)
  耳の下の耳下腺という唾液腺に炎症が起こって腫れてきます。多くはムンプスウイルス(流行性耳下腺炎のウイルス)によっておこって来るのですが、その他のウイルスや細菌でも同じように耳下腺が腫れることがあります。前者を流行性耳下腺炎、後者は単なる耳下腺炎や反復性耳下腺炎と診断しています。学校など出席停止になるのは前者の流行性耳下腺炎のみですが、耳下腺が腫れていても流行性かどうかはわかりません。疑わしきは出席停止にします。医学的には疑わしきは血液検査(結果は7日程度かかりますが)で確認します。

3.今後流行しそうな病気

1)伝染性紅斑(りんご病)
  頬がりんごのように真っ赤になる病気です。その他に腕や大腿にレース様の赤みがでます。ヒトパルボウイルスB-19によってうつる病気です。以前は学校を休ませるように言われていましたが、今は休ませる必要はありません。しかし、かぜ症状が強ければしばらくは休ませましょう。


2)ヘルパンギーナ(夏かぜ)
  咳、鼻水などが少なく、急に高い熱が出てのどに口内炎のような発疹ができてくる病気です。原因はウイルスで主にコクッサッキーA4ウイルスですが,そのほかA2?A6などもあり、一度したからもうしないという訳ではありません。高熱は今の所48時間ぐらいです。

3)手足口病
  その名のように、手のひら、足のうら、口の中に小さな水ぶくれができる病気です。おしりやひざにできることもあります。 熱はないか、あっても微熱程度ですみます。手足の水ぶくれは痛がりませんが、口の中が痛くて食べられなくなることがあります。原因ウイルスはコクサッキーB-16とエンテロ75などで、以前にかかったことのある子でもまたうつる場合があります。以前は学校を休ませるように言われていましたが、今は休ませる必要はありません。しかし、症状が強ければしばらくは休ませましょう。


4)アデノウイルス感染症
  アデノウイルスによる感染で咽頭炎や扁桃炎として始まり、手指を介して結膜炎を併発するものと、結膜炎から始まり咽頭炎・扁桃炎に伸展するものがあるようです。いずれも、潜伏期間は5~7日です。
 4-1)浸出性扁桃炎
 咳、鼻水などが少なく、急に高い熱が出ています。熱は比較的高熱で3?5日続きます。原因はアデノウイルス3、4、5型が主です。前述の如く、ここまでのタイプと次のプール熱まで進むタイプがあります。
 4-2)咽頭結膜熱(プール熱)
 咳、鼻水などが少なく、急に高い熱が出て、眼が赤くなったら疑われます。熱は比較的高熱で3?5日続きます。プールでうつることが多いのでプール熱と言いますが正確には咽頭結膜熱と言います。原因はアデノウイルス3、4、5型が主です。

カテゴリー

このページの
先頭へ